第6位 サン・サーンス

出身区分  フランス/ロマン派
生年没年  1835(パリ)-1921(アルジェリア)
学歴  パリ音楽院
主な作品
  • 交響曲第3番《オルガン付》(11位)
  • 動物の謝肉祭、ロンド・カプリチオーソ
  • ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調

 

■作曲家への道のり

 サン=サーンスは3歳で作曲を始めたと言われる、モーツァルト、メンデルスゾーンらと並ぶ神童作曲家である。早くも13歳でパリ音楽院への入学が許され、そこで作曲とオルガンを学ぶ。22歳の時、パリで最高の権威あるマドレーヌ教会のオルガニストに就任し、プロの音楽家としての活動を始める。彼が生まれたのは、ベートーヴェンが亡くなったわずか数年後であるが、亡くなったのは1921年、マーラーが亡くなって早10年、パリではストラヴィンスキーのバレエ《春の祭典》が初演されて数年経った後のこと。まさに、古典派の時代から現代音楽の時代までを駆け抜けた86年であった。

 

■得意楽器

 サン=サーンスは10歳で演奏会を開くほどの早熟なピアノの名手で、自身のピアノ協奏曲の初演時のソロを担うほどの腕前だった。同時に、教会のオルガニストとして活動を始めたサン=サーンスは、オルガンの即興演奏では当代随一と評価されていた。「オルガン付き」と言われる彼の交響曲第3番について、彼自身が、「私が注ぎこめるすべてを注ぎ込んだ」と述べているが、ピアノとオルガンという彼が得意とした二種類の鍵盤楽器がオーケストラに加えられ、大変、効果的に使われている。ヴィルトゥオーゾとも言えるピアニズムと彼が得意とした壮大なオルガンの響きが大変印象的な作品である。

 

■人間関係

 彼は作曲家としては例外的に長命で、博学の作曲家だったこともあり、シューマン、リスト、ワーグナーなどドイツロマン派の作曲家からフォーレ、ドビュッシー、ラヴェルなどの近代フランスの作曲家まで、まさにクラシック音楽史をまたぐような広い交友関係を持っていた。当初、ワーグナーをフランスで紹介するなどドイツ音楽への嗜好を隠さなかったが、1870年の普仏戦争以降、フランス音楽を普及するため国民音楽協会を設立するなどの活動も行った。作風は晩年に至るまで保守的で1913年にパリで行なわれた、有名なストラヴィンスキー《春の祭典》の初演では、冒頭のファゴットのパッセージを聴いて席を立ったと言われている。

 

■主な作曲分野

 番号の付いている交響曲は3曲、ヴァイオリン協奏曲は3曲、自身が得意としたピアノのための協奏曲は5曲、チェロ協奏曲が2曲、オペラは15作など、すべての分野に傑作を残している。個人的に一作品を挙げるなら、ヴァイオリン協奏曲第3番、あるいはチェロ協奏曲第1番か、両者ともソロ楽器が華麗に響き渡る名作。

 

分析の詳細


 今回の結果のうち、最も意外な結果だったのは、このサン・サーンスの高評価だった。交響曲、協奏曲、室内楽、そしてオペラなど、どの分野でもそれなりの名作を残しているが、正直なところ、アマチュアオーケストラにとって決定的な作品に欠けるのではと考えていたが、結果は1601ポイントを得て、マーラーやショスタコーヴィッチなどの大シンフォニストを破っての6位入賞となり、フランス人の作曲家としても唯一ベスト10に入った。サン・サーンスは、「好き」な割合では、ショスタコーヴィッチやマーラーに負けているが、「あまり好きでない」と「嫌い」の割合が、5.2%と全作曲家中でも最も少なく、「嫌われない」ことで上位に位置づけられた。 

 

 楽器別に見ると、チェロ、オーボエ、トロンボーン、チューバ奏者の評価が高い。注目すべきは、オーボエ奏者が全作曲家中、サン・サーンスを3番目に高く評価していることだ。うーん、なぜだろう。私には理由が分からない。一方で、低い評価を与えたのはファゴット奏者。「好き」の割合が半分にも満たない結果となった。

 

 ドイツ音楽好きにとっても、フランス音楽好きにとっても、今回のサン・サーンスに対する評価は不可思議な結果だが、年齢別評価についても、平均的に好まれていて、あまりはっきりとした傾向は出なかった。不思議な作曲家だ。

作曲家難易度:★★★(平均的な難易度)


 

サン=サーンスは交響曲第3番のみのエントリーなので、作曲家難易度はこの作品の難易度となるが7.1と全体平均の7.3ポイントより、0.2ポイント低く、平均的な難易度と評価される。

楽器別に見ると、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの中低弦組の難易度が高くなっている。対して、管打楽器は参考数値のクラリネットを除き、すべての分野で平均よりもかなり数値が低く、やさしいという評価になっている。

総合的に見て、サン=サーンス(の交響曲第3番)は、「(中低弦奏者を除く)アマチュア奏者にとって比較的演奏しやすい作曲家(作品)」と評価できる。