第4位 ベートーヴェン

出身区分  ドイツ/古典派
生年没年  1770(ボン)-1827(ウィーン)
学歴  個人教授(ネーフェ、ハイドン)
主な作品
  • 交響曲第5番《運命》(12位)
  • 交響曲第9番《合唱付き》(5位)
  • ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
  • ヴァイオリン協奏曲ニ長調

 

■作曲家への道のり

 声楽家であった父親からの厳しいレッスン。彼の才能に惚れ込み支援するボン、ウィーンの貴族たちとの交流とかなわぬ愛。そして、モーツァルト、ハイドン、そしてゲーテなど先輩芸術家との出会いと別れ。悲劇的な難聴とハイリゲンシュタットの遺書。ナポレオンに対する共感と幻滅。フランスとの戦争etc。伝記で誰でも知っている彼の人生は、すべてが実に伝説的である。

 

■得意楽器

 LVBの得意な楽器と言えば『ピアノ』。そのことは音楽好きであれば誰でも知っている。自らの作品を劇的に演奏する天才ピアニストとして、まずはピアニストとしてウィーン音楽界の寵児となっていったことは音楽史上の常識だが、そのことを知らなくても、ピアノを弾く人ならば、彼の作品を通じて、圧倒的な技術と巨大な表現力を持ったピアニストであったことを肌で感じているだろう。ピアニストとしてのベートーヴェンのDNAは、弟子のチェルニーからリストに、そして、リストからビューロウへと、ドイツ系ピアニストの偉大な伝統として引き継がれていくことになる。

 一方、彼が音楽の修行中であった青年時代、ボンのオーケストラでヴィオラを弾いていたことはあまり知られていない。ヴィオラを弾いた作曲家としては、大バッハに始まり、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ドヴォルザーク、そしてヒンデミットを挙げることができる。これだけの大作曲が並ぶと、中声部を担うヴィオラと作曲という行為になんらかの関係があると考えるのは決して誤りではないだろう。

 

■人間関係

 彼が恋多き人間であったことは、伝記でもよく知られた逸話だが、彼の作品、特に美しい緩徐楽章を聴いていると、深い愛情を湛えた人であったことに疑いの余地はない。結局、結婚はせず、残されたラブレターも誰に宛てたものかは未だにわかっていない。

 一方、ボン時代からの友人ワルトシュタイン伯爵や作曲の弟子でもあったルドルフ大公など、貴族の友人は多かった。作曲家としては、モーツァルトを尊敬していたが、後年、ヘンデルのメサイヤを知り、ヘンデルをモーツァルトやバッハよりも高く評価した。

 

■主な作曲分野

 ベートーヴェンには、金字塔と評される分野が多くある。その中でも、幅広い期間にわたって書かれた作品数の多さ、それぞれの作品の完成度の高さ、そして、後世に与えた影響の大きさから、ピアノソナタ、弦楽四重奏曲、そして交響曲が彼の代表分野と言うことに反対する人はあまりいないのではないだろうか。

 その他にも、多くの分野で傑作を残したベートーヴェンは、「大作曲家とはかくあるべし」という見本を後世の作曲家に示すことになった。シューベルト、シューマン、メンデルスゾーン、ブラームスなどの後輩は、その姿を追って作品を書き続けることになる。

 遠く20世紀、ソビエトの作曲家ショスタコーヴィッチなどもこうした理想を追いかけた作曲家だろう。一方、その道から外れながら、ベートーヴェン作品の根底に流れるドゥラマトゥギーを楽劇という形で引き継ごうとしたのはワーグナーだった。

 

回答の傾向


「とても好き」の回答数は255名、「比較的好き」の回答数は225名と、約8割の回答者がベートーヴェンを「好き」と回答している。ポイント数でも、1849ポイントを獲得し、アマオケ奏者の嗜好がロマン派以降に偏る中、古典派作曲家中、唯一のベスト10入りとなった。

 楽器別に見ると、「とても好き」な人の割合が6割を超えるファゴットからの評価が高いことが特に注目される。運命や第九でのファゴットの活躍ぶりを思い出せば、この結果もなるほどとうなずける。一方、ヴァイオリンとヴィオラに関しては、「とても好き」が3割台となっており、評価はいま一つ盛り上がらなかった。ホルンを除く金管楽器からの評価があまり高くないのは、古典派の作曲家としては仕方ないところだろう。

 

 ベテランアマオケ奏者から、「以前はもっとベートーヴェンの人気が高かった」とか「ベートーヴェンの良さは、年齢を重ねるごとに理解できるようになる。」と言われても、若い人は「そんなものかな」とか「人によって違うのではないか」と反発する人もいるかもしれない。

 しかし、データを見るとそうした発言を裏付ける結果となった。個人的には、ベートーヴェンの交響曲は力強くて若々しい音楽だと思うが、マーラーやショスタコーヴィッチなど近代オーケストラを駆使した作曲家の評価が高まる中、ベートーヴェンの人気が相対的に落ちているのかもしれない。

作曲家難易度:★★★(平均的な難易度)


 ベートーヴェンの作曲家難易度は7.5と全体平均の7.3ポイントより0.2ポイント高いくなっている。楽器別には、コントラバスが8.4ポイント(楽器別全体の平均難易度に対して+1.0)と他の楽器に比較して高い難易度を示している。全体的にコントラバス奏者にとって困難なスコアが書かれている。その他、ヴィオラが7.4ポイント(楽器別全体の平均難易度に対して+0.4)、フルートが7.4ポイント(同+0.3)、打楽器が8.2ポイント(同+0.3)と楽器別全体の平均難易度に対して難しいと評価されている。

 一方、トランペットは6.3ポイント(楽器別作品全体の平均難易度-0.7)、トロンボーンが7.3ポイント(同-0.3)と楽器別全体の平均難易度に対してやさしいと評価されている。

 総合的に見て、ベートーヴェンは、(コントラバス奏者を除く)アマチュア奏者にとって比較的演奏しやすい作曲家と分類できる。