第3位:ブラームス/交響曲第4番ホ短調


ブラームスが残した最後の交響曲は、深く味わいのある名作中の名作。

ため息をつくようなヴァイオリンのメロディに始まり、徐々に壮麗さを増していく第1楽章。第2楽章では、古い旋法であるフリギア旋法を用い、終楽章ではバロック時代に多用された変奏曲であるシャコンヌを取り入れるなど、古典以前のさらに古い時代の手法を活用しているのが特徴。ワーグナーは、ブラームスについて「古い器に新しい生命を注ぐことができる人」と評したが、この作品の真に名作であるゆえんは、そうした古い形式にロマン的な情感がたっぷり注ぎ込まれているところにある。

どの楽器も「自分が主役」と感じられるような見事なオーケストレーションがほどこされており、さすがブラームスと思わずにはいられない。

 

アンケート結果


 アンケートの全回答者中、本作品に「最も好きな作品」40名、「二番目に好きな作品」23名、「三番目に好きな作品」26名が投票し、選好度ポイント計算の結果、全体の第3位となる295ポイントを獲得。第2位となった同じブラームスの交響曲第1番よりも1位票で多かったが、総合ポイントでわずか5ポイント及ばなかった。

 

(注)選好度ポイント=「最も好きな作品」回答数*5点+「二番目に好きな作品」回答数*3点+「三番目に好きな作品」回答数*1点

楽器別評価



 

年齢別評価


 

「若い世代には、この作品の良さは分からないだろうなぁ!」との声が聞こえてきそうな結果である。この作品は晩年に差し掛かったブラームスの諦念のようなものが表現されている。こうした枯れた味わいが熟年層から高齢層にも訴えるのだろう。一方、中から湧き上がる力にも満ちた作品でもあって、心身共に充実している若手中堅世代である20歳代からも評価されているのかもしれない。

 

演奏難易度:★★★(平均的)


ブラームスの交響曲第4番の作品難易度は7.2ポイントと全作品平均難易度7.3に比べ▲0.1と平均的な難易度の作品と言える。

楽器別に見ると、打楽器(8.7ポイント)、ファゴット(8.3ポイント)、トロンボーン(8.2ポイント)と3つのパートで「とても難しいレベル(8.0ポイント以上)」と評価されている。一方、コントラバス(6.0ポイント)、トランペット(6.4ポイント)の2つのパートで「比較的やさしい(6.6ポイント以下)」と評価されている。このようにブラームスの交響曲第4番は、「アマチュアオーケストラにとって演奏しやすい作品」である。


(注)難易度ポイント=(「とても難しい」回答数*10点+「難しい」回答数*8点+「普通」回答数*5点+「比較的やさしい」回答数*3点+「やさしい」回答数*1点)÷回答総数

アマオケ奏者の声


  • ロマン派流行の中で、晩年に一種の原点回帰を試みた作品。(20歳~39歳・男性・ヴァイオリン)
  • ブラームスの旋律の美しさ、重厚さ、和声の美しさが大好きです。4曲全部好きですが、特に4番4楽章のパッサカリアが好きです。(40歳~59歳・女性・ヴァイオリン)
  • ブラームスの中では一番好き。(20歳~39歳・女性・ヴァイオリン)
  • ブラームスらしいメロディの綺麗さ、ドイツ的な音楽を楽しめる。くどすぎることがないがしっかりとドイツらしさを出しているところがよい。(20歳~39歳・男性・ヴァイオリン)
  • ブラームスの最後の交響曲。何度楽譜を見ても、聴いても、新しい発見があり、楽しいです。(20歳~39歳・女性・ヴィオラ)
  • ブラームスの全てを詰め込んだような作品だと思います。弾きながら心打ち震える作品です 。(20歳~39歳・女性・チェロ)
  • この曲を満足に演奏できたらオケやめてもいいと思わせる曲。(60歳以上・男性・チェロ)
  • 作品は人生そのもので、演奏の機会があるたびに自分の作品に対する意識が変わったりするところに、深い味わいを感じます。(20歳~39歳・女性・コントラバス)
  • ブラームスの中で最もテンションが上がる。(20歳~39歳・男性・コントラバス)
  • 世の中の曲で一番洗練されて完成度の高い交響曲。すばらしい芸術作品(20歳~39歳・男性・クラリネット)
  • 深い情感、哀愁(40歳~59歳・男性・クラリネット)
  • 独特のくらい雰囲気(20歳~39歳・女性・クラリネット)
  • いつ聞いても綺麗なメロディーと感じます。(20歳~39歳・女性・クラリネット)
  • 4楽章のソロがたまらない。(20歳~39歳・女性・フルート)
  • 譜ヅラはそうでもないが、実際に演奏すると音程やセクション全体・オケ全体での音作りがとても難しい。しかし、その難しさもあって一見シンプルな譜面からは想像もつかない重厚で哀愁のこもったブラームスらしさが一杯のサウンドがする。特に、終楽章のパッサカリアはそんなブラームスらしさを端的に表している。(10歳~19歳・男性・ファゴット)
  • 古典風モダンの非金属的光沢(40歳~59歳・男性・ホルン)
  • ブラームスの中では比較的吹きやすいが、細かなソロも多くその点は気を使う。しかし楽しく、それぞれのフレーズがとても魅力的。(20歳~39歳・男性・ホルン)
  • 憧れの先輩の2ndをやった曲。1st、2ndの絡みが多く表現も難しいブラームスの曲はとてもやりがいがあった。(20歳~39歳・女性・ホルン)
  • 4楽章のみの登場だがコラール風のアンサンブルが美しい。(60歳以上・男性・トロンボーン)
  • 第1楽章冒頭から第4楽章の最後まで、ブラームスのメランコリックなメロディに心が張り裂けそうになる。(20歳~39歳・男性・ティンパニ)
  • 純粋に曲が好きです。ことティンパニにとっては、オーケストラと溶け合うための教科書のような譜面で、大変勉強になります。(20歳~39歳・男性・ティンパニ)