番外編~11位から20位


 

 ここでは、惜しくも10位入賞を逃した20位までの作品を見ていこう。

 

  • 次点の11位には、意外にもサン・サーンスの交響曲第3番「オルガン」が入った。特に支持が高かったのはチェロとチューバで、それぞれ第3位の評価を受けた。チェロに関しては、もしかすると名作「白鳥」があって、作曲者へのシンパシーがあるからかもしれない。
  • 12位でようやくクラシック音楽界の大本命作品、ベートーヴェンの交響曲第5番《運命》が登場する。コンサートでの一般的な人気からしたら意外に低い順位だが、それでも、オーケストラの主役であるヴァイオリン奏者から第3位の評価を受けているのがさすが。他にも、ファゴット(第3位)、コントラバス(第5位)など低音楽器から高い支持を得ているのが面白い。
  • 13位には後期ロマン派の大シンフォニスト、マーラーの交響曲第1番「巨人」、の作品が入った。難易度の高いマーラーの作品の中では、アマチュアが取り組むことが可能な部類にぎりぎり入る(作品難易度8.1ポイント)。全体的に評価されたが、特にティンパニの第4位、ホルンの第6位については、活躍を考えれば肯ける結果だろう。むしろ、ヴァイオリンからの第11位は想像を超える高評価で驚いた。
  • 14位はシベリウスの交響曲第2番。リスナーとしては、演奏頻度の多すぎる2番よりも他の作品を聴きたいところだが(笑)、アマオケ奏者としては、比較的平明で、他の作品に比べて格段に弾きやすいこの2番に人気が集中するのは理解できる。トロンボーン3位、トランペット4位、チューバ7位と金管楽器からの高い評価が順位を押し上げた。
  • 15位はショスタコーヴィチの交響曲第5番。現代系の作品では、唯一20位以内にランクインした。作品難易度は7.8ポイントと簡単ではないが、無理のないレベルに収まっている。ファゴット、トランペットがそれぞれ第7位と高評価だが、特筆すべきは、ヴァイオリンからの8位という高い支持を得たこと。近現代の作品としては、管打楽器に偏りすぎず、バランスのよいオーケストレーションがなされていることの証左だろう。
  • 16位に筆者の最愛の作品、ベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》がようやく登場。この作品を好きなのは何といってもフルート奏者で、堂々の第1位の支持を得ている。他にはオーボエ8位、ファゴット9位と総じて木管楽器からの評価が高い。難易度は楽器によって評価が上下するが、特にコントラバス奏者は「とても難しい(8.6ポイント)」と感じている。
  • 17位には、人気のチャイコフスキーから交響曲第4番。チャイコの3大交響曲はすべて20位圏内に入った。ファゴット、ホルンが7位、ティンパ二が8位となっている。
  • 18位はマーラーの交響曲第5番。この作品は難易度9.0ポイントと演奏が最も難しい作品と評価されている。それでもこの順位に入ったのは、それだけ作品の魅力が高いためだろう。ソリストのような2つのパート、トランペットが3位、ホルンが9位と高評価となっている。私も弾いてみたいが、難易度10.0ポイント(コントラバス)じゃあな…ちょっと無理か。
  • 19位 に入ったドヴォルザークの交響曲第7番は、作曲者がブラームスの交響第3番を聴いて感動して作曲したと言われ、ブラ3同様に暗くて力強い作品。一方、美しい旋律やボヘミア風のリズムなどドヴォルザークの個性もたっぷり。フルート(3位)、コントラバス(5位)、ヴァイオリン(11位)と意外なパートから高い評価を受けた。
  • 最後の20位には、チューバ(2位)、トロンボーン(7位)からの高い評価を受けて、なんとブルックナーの交響曲第4番《ロマンティック》が滑り込んだ。これいい曲だよ~!ただし、この作品を演奏するにはまずは体力が必要。また、金管楽器の難易度がとくに高く、全体でも8.4ポイントと演奏が難しい作品に位置づけられている。