第1位 チャイコフスキー

出身区分 ロシア・ペテルブルク/ロマン派
生年没年  1840(ヴォトキンスク)-1893(モスクワ)
学歴 サンクトペテルブルク音楽院
主な作品
  • 交響曲第5番ホ短調(1位)
  • 交響曲第6番ロ短調《悲愴》(8位)
  • ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲
  • バレエ《白鳥の湖》
  • バレエ《くるみ割り人形》

 

■作曲家への道のり
 裕福な鉱業技師の家庭に生まれたチャイコフスキーは、幼少の頃から音楽的才能を示したが、音楽の専門の道には進まず、ペテルブルク大学法学部を経て、19歳で法務省の役人となった。その後、仕事を続けながら、後のペテルブルク音楽院となる音楽協会に入会したことが、彼の人生を大きく変えることになる。

 そこで音楽を深く学んだ彼は、23歳で法務省を辞め、職業作曲家としての一歩を踏み出すことになる。ロシアには、リムスキーコルサコフやボロディンなど軍隊士官あがりの作曲家もいるが、音楽史上、プロの行政公務員から大作曲家となったのは、チャイコフスキーだけだろう。これは本当に珍しい。

 

■得意な楽器
 ピアノを相当に弾けたのだろうと想像するが、公務員からの転身組なので、チャイコフスキーがプロの演奏家として活動することはなかった。素晴らしいピアノ協奏曲は書いているが、ピアノのための本格的な作品はそれほど多くなく、むしろ重要作品はオーケストラのための作品に偏っている。

 そうした意味では、もともと医学生で、ギターしか弾けなかったとも言われるベルリオーズとちょっと似ているのかもしれない。両者とも、オーケストレーションがめっぽう上手い。

 

■人間関係
 チャイコフスキーは、特に音楽家の家系の出身ではなく、父親は鉱山技師で当時のロシアの中流階級の出身である。同性愛の性向があったことは、現在では広く知られた事実だが、女性との恋愛経験や悲劇的な失敗に終わる結婚経験もあった。

 また、ドビュッシーにも支援を行なっていた資産家のフォン・メック夫人から、決して会わないという条件の下に経済的な支援を受け、その間、交響曲第4番をはじめ、多くの名作が発表されたことは大変有名な逸話。最後の作品である交響曲第6番の初演後すぐに亡くなったことから、暗殺説や裁判による自殺説などもあったが、現在では、従来からのコレラ説が有力。

 

■主な作曲分野
 多くの分野に名作がひしめいているが、チャイコフスキーの得意分野と言えば、後半の3曲が入選した交響曲とピアノとヴァイオリンのための二つのコンチェルト、そして、白鳥の湖、眠りの森の美女、くるみ割り人形の三つのバレエ音楽だろう。

 これらは、彼の代表作というだけでなく、クラシック音楽を代表する名作と言える。どの作品も人の心に響くメランコリックな歌に溢れ、素晴らしいオーケストレーションによる豪華なサウンドを楽しむことができる。個人的には、モーツァルトやメンデルスゾーンに比較される天才だと思う。

 

回答の傾向


9割の回答者がチャイコフスキーを「好き」と回答し、2285ポイントを獲得して、第2位のブラームスをわずかに86ポイント上回り、作曲者人気順位第1位の栄冠を獲得した。

 楽器別に見ても、各楽器ともに軒並8割を超える支持率となっており、コントラバス、トランペット、トロンボーン、そして打楽器部門においては、全作曲家中第1位の人気をとなっている。一方、不思議なことにというべきだろうが、ファゴットのみが8割を切っている。ただし、ファゴット内の順位は3位と悪くはない。むしろ、順位が6位とやや落ち込んでいるなったフルートは特徴的な結果だろう。全体としては、弦楽器、木管楽器において、第2位のブラームスに次ぐ支持を得ながら、ブラームスが伸びなかった金管楽器からも高く支持されたことがこの結果の要因である。 

 

 年齢別には、10歳代から39歳までの年齢層で第1位、40歳以上の年齢層でも第2位と幅拾い年齢層からの支持を集めた。なお、60歳以上では、全回答者が「好き」との回答であった。さすが。 

作曲家難易度:★★★(平均的)


  チャイコフスキーの作曲家難易度は7.4ポイントと全体平均の7.3ポイントとほぼ同じで、ちょうど平均的な難易度である。楽器別に見ると、オーボエが7.0ポイント(楽器別全体の平均難易度に対して+0.3)、クラリネット7.5ポイント(同+0.3)、ファゴットが8.9ポイント(同+1.5)、トランペットが8.1ポイント(同+1.1)、トロンボーンが8.1ポイント(同+0.5)と楽器別全体の平均難易度に対して難しいと評価されている。

 一方で、ヴィオラが6.2ポイント(楽器別作品全体の平均難易度-0.8)、コントラバスが7.0ポイント(同-0.4)、フルートが6.8ポイント(同-0.3)、チューバが6.3ポイント(同-0.6)と楽器別全体の平均難易度に対してやさしいと評価されている。

総合的に見て、チャイコフスキーは、「アマチュアにとって演奏しやすい作曲家」と分類できる。