ロシアのマーラーと言えるような激烈な第1交響曲が大失敗に終わった後、ピアノ協奏曲第2番、そして、この交響曲第2番で「遅れてやってきたロマン主義者」に作風を激変させ、大衆的な成功を収めた。
その一方、専門家やコアな音楽ファンからは、時代遅れの作曲家と低く評価され、あまり演奏会でも取り上げられない時期が続いた。
しかし、マーラーブームが終焉し、また、現代音楽が多様化する中、近年、彼のオーケストラ作品の再評価が行われ、特に、この第2交響曲はアマオケにも多く取り上げられるなど、評価がうなぎのぼりになっている。
1時間を超える大作で、アマチュアにとっては、難易度も相当に高いが、映画音楽のようなロマンティックなフレーズが延々と続く第3楽章やこれでもかとクライマックスが続く第4楽章などは、弾いている私たち自身が陶酔してしまうほど素晴らしい盛り上がりを見せる!
アンケートの全回答者中、本作品に「最も好きな作品」34名、「二番目に好きな作品」28名、「三番目に好きな作品」15名が投票し、選好度ポイント計算の結果、全体の第3位となる269ポイントを獲得。ベートーヴェンやドヴォルザークなどの大作曲家を抑えて堂々たる第4位となった。この作品が、この位置に飛び込むのは、この作品を作曲して100年を経過した現代における再評価の結果、そして、アマオケ奏者による投票ならではの大きな特徴なのかもしれない。
(注)選好度ポイント=「最も好きな作品」回答数*5点+「二番目に好きな作品」回答数*3点+「三番目に好きな作品」回答数*1点
この作品に対する評価で最も特徴的なのは、弦楽器から強い支持を受けたことだろう。一方で金管楽器からの支持はそれほど強くないことも意外な結果。第3楽章に美しいソロのあるクラリネットにおいて票が集まっているのは当然。不思議なことにファゴットからの評価はいまいち。
この作品への嗜好は実に特徴ある傾向が出ている。20歳代~50歳代の年齢階層から高い評価を得ているが、両端の世代からはあまり評価されていない。この作品の技術的な難易度の高さから、両端の世代から敬遠された理由ではないかと思われる。もしかすると、この作品にみられるセンチメンタルなほどのロマン性に強く反応するのは、社会人、家庭人として厳しい毎日を送りながら(失礼!)なんとかアマオケ活動を行っている中堅世代なのかもしれない。
ラフマニノフの交響曲第2番の作品難易度は8.4ポイントと全作品平均難易度7.3と比べ+1.1ポイントとベスト10に入った作品の中で最も難易度の高い作品となった。
楽器別に見ると、フルート(10ポイント)の回答者全員が「とても難しい」と回答したのを始め、ヴィオラ(9.6ポイント)、トランペット(9.3ポイント)、チェロ(9.2ポイント)、ファゴット(8.7ポイント)、打楽器(8.5ポイント)、ヴァイオリン(8.4ポイント)、トロンボーン(8.3ポイント)、コントラバス(8.2ポイント)と実に9つのパートで「とても難しい(8.0ポイント以上)」と評価された。
一方、チューバ(6.8ポイント)からは「比較的やさしい(7.0ポイント以下)」と評価されている。
以上、ラフマニノフの交響曲第2番は、「アマチュアオーケストラにとって最も手ごわい作品」と評価される。さあ、取り上げるか!?
(注)難易度ポイント=(「とても難しい」回答数*10点+「難しい」回答数*8点+「普通」回答数*5点+「比較的やさしい」回答数*3点+「やさしい」回答数*1点)÷回答総数