KAFFEE PAUSE

交響曲東西ベストナイン!


 本来、古典主義的な「器楽形式」であった「交響曲」を、ベートーヴェンが理念や意志を表現するロマン主義的な「ドラマ形式」として確立して以降、それぞれの作曲家は、自らの人生をかけて交響曲に取り組むことを余儀なくされた。

 

 メンデルスゾーン、シューマン、ブルックナー、ブラームス、ドヴォルザーク、チャイコフスキーなどの交響曲作家は、ベートーヴェンが残した9番という番号を越える交響曲を残すことはできなかった。こうした第9の不吉な伝説に囚われ、第10番の完成を失敗したマーラーの逸話は特に有名だ。

 

 このように交響曲の歴史において「9」という数字は特別な意味を持つ。今回、アンケート結果から番号別に上位の作品を抽出し、それぞれ、ドイツ・オーストリア系とスラブ・ラテン系とに分類してみた。

打順 ドイツ・オーストリアチーム スラブ・ラテンチーム
 シューマン/交響曲第1番「春」

 

 チャイコフスキー/交響曲第1番「冬の日の幻想」
ブラームス/交響曲第2番 ラフマニノフ/交響曲第2番

ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」  サンサーンス/交響曲第3番「オルガン付」
ブラームス/交響曲第4番 チャイコフスキー/交響曲第4番
ベートーヴェン/交響曲第5番 チャイコフスキー/交響曲第5番
マーラー/交響曲第6番「悲劇的」 チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」

ベートーヴェン/交響曲第7番 ドヴォルザーク/交響曲第7番
シューベルト/交響曲第8番ハ長調 ドヴォルザーク/交響曲第8番
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付」 ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」

 

 このように並べてみると、なんとなく野球のセ・パ両リーグのベストナインのように見えてくるのが面白い。ということで、ちょっと遊んでみた。

 

 まずは俊足の1番バッター。ドイツ・オーストリアチームの「春」選手に対して、スラブ・ラテンチームは「冬」選手が対抗。それぞれ小柄だが、甲乙付けがたい好打者同士だ!

 

 つなぎの2番打者。スラブ・ラテンチームは、やや線は細いが、時折ホームランをかっ飛ばす「ラフ2」選手。対するドイツ・オーストリアチームは、明るくて、強い体幹に定評ある「ブラ2」選手を据える。

 

 クリーンナップの3番。すべてがバランスよく、球界一の英雄と言われている「エロイカ」選手に対して、スラブ・ラテンチームは、鍵盤楽器を動員し、意外な人気を誇る「オルガン」選手が迎え撃つ。

 

 ホームラン王の4番バッター。実力はピカ一だが、根暗で爺くさい性格のドイツ・オーストリアチーム「ブラ4」選手に対して、スラブ・ラテンチームには、根暗に見えて、実は陽気でドンちゃん騒ぎが大好きな「チャイ4」選手が座る。さすがの4番、重量級の対決だ。

 

 しかし、両チームの真の主役打者は、実は5番に座っている。スラブ・ラテンチームは「チャイ5」選手。球界一の人気選手で、華麗なプレーで球場を湧かせる。一方のドイツ・オーストリアチームは、往年の名選手「運命」選手。近年の人気は「チャイ5」選手に譲るが、「闘争から勝利」の方程式でサヨナラホームランの男と言われ、特に高齢者からの人気は抜群の選手だ。

 

 6番バッターは、「悲劇的」選手と「悲愴」選手。両選手とも実力はあるのに、いつも憂うつで、自らの成績に絶望している(笑)。

 

 7番には、両チームとも勢いのある選手が揃った。「ベト7」選手と「ドボ7」選手。共に踊るような守備とスピード感ある走りを見せる。

 

 ライパチ(8番)は、シューベルトの「グレイト」選手と「どぼっぱち」選手。両者ともいつでも陽気なメロディを口ずさんでいる。なお、「どぼっぱち」選手は、ど田舎出身の飲べえで、オタクの鉄ちゃんだ(笑)。

 

 打線の最後を締める9番には、投手を務める大物選手が陣どる。スラブ・ラテンチームは、アメリカからやってきた助っ人「新世界」選手。ドイツ・オーストリアチームは観客から大声援を受ける「合唱付」選手。両選手ともスゴイ人気で、華麗な投球術に球場に集まった観客が歓喜の涙を流す。

 

 試合は白熱した名勝負となるが、解説者による事前の予想を裏切り、○○対○○で、スラブ・ラテンチームが大勝利。MVP(聴衆賞)は、圧倒的な得票で「チャイ5」選手が獲得した。(笑)