「ある芸術家の生涯の出来事、5部の幻想的交響曲」が正式名称。「恋に深く絶望しアヘンを吸った、豊かな想像力を備えたある芸術家」が見る幻想。こうした途方もない構想を交響曲という形式で実現したこの作品が、ベートーヴェンがなくなってから数年で書かれたとはとても信じられない。
実際、この作品は、面白い!美しい女性を特定の旋律(固定観念)で表現し、その後、場面に応じて変奏を固定観念に加え、最後には、醜い魔女の姿にまで変奏するという発想、そして、驚くばかりの効果的なオーケストラの使用など、初期ロマン派という時代を超越した作品である。
アンケートの全回答者中、本作品に「最も好きな作品」18名、「二番目に好きな作品」30名、「三番目に好きな作品」18名が投票し、選好度ポイント計算の結果、全体の第10位となる198ポイントを獲得。名作が多いものの、編成の問題などがあって今回選ばれなかった初期ロマン派の作品の中から、唯一選ばれたのが、この破天荒な交響曲が選ばれた。
(注)選好度ポイント=「最も好きな作品」回答数*5点+「二番目に好きな作品」回答数*3点+「三番目に好きな作品」回答数*1点
ヴィオラとチェロがそれぞれ6位と特徴ある結果となっている。普段地味なヴィオラがこの特殊な作品にシンパシーを感じるのには何か理由があるのだろう。後で、ヴィオラ奏者にインタビューしてみよう。また、本来、フランス生まれのオフィクレイドという楽器のために書かれたパートを代用で演奏するチューバからの支持が6位と高くなっている。
この作品に対する評価は不思議な形を描いた。若い世代では8位と高評価を受け、その後、年を追うごとに低くなり、一転、60歳以上で若年層を超える4位と高評価となる。正直、作品同様の支離滅裂な結果で分析不能(笑)。
幻想交響曲の作品難易度は7.8ポイントと全作品平均難易度7.3より0.5ポイント高く、「難しい」作品と言える。
楽器別に見ると、チューバ9.2ポイント、チェロ9.0ポイント、フルート8.7ポイント、打楽器が8.5ポイント、ヴァイオリン、ヴィオラ8.0と6つのパートで「とても難しい(8.0ポイント以上)」と評価されている。
一方、ファゴット5.0ポイント、トランペット5.3ポイントと2つのパートで「やさしい(6.6ポイント以下)」と評価されている。うーむ、本当かなぁ。
総合的に見て、ベルリオーズの幻想交響曲は、「アマチュアオーケストラにとって演奏が難しい作品」と評価できる。
(注)難易度ポイント=(「とても難しい」回答数*10点+「難しい」回答数*8点+「普通」回答数*5点+「比較的やさしい」回答数*3点+「やさしい」回答数*1点)÷回答総数