室内楽シリーズ Vol.2の記録


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当日プログラム


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ドヴォルザーク:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 Op.87

ショスタコーヴィッチ  ピアノ五重奏曲ト短調 OP.57

当日ミニ講演


「ロマン派から近代の音楽へ」

 

ロマン派音楽研究会ROMUVE代表幹事

   実存思想協会会員 宮川清吾

 本日は、私どもロマン派音楽研究会ROMUVEが主催する、ポストロマン派の室内楽演奏会にご来場いただき、誠にありがとうございます。

 

 

 まだ、開演までは10分以上あるのですが、この時間を使いまして、私の方からお配りした「ロマン派から近代の音楽へ」というペーパーを使いまして、若干、今回の演奏会を理解するのにヒントとなる情報をお話したいと思います。

 

 さて、始めに二枚目のスライドですが、「藝術とは何なのか」という問いは、実は古い歴史があり、古代ギリシャの時代から論じられているテーマです。現在でも岩波書店から出版されている「詩学」という著書、というか、これはアリストテレスの授業の内容なのですが、に書かれている内容をここでは最初に紹介させていただきます。

 

アリストテレスは、詩学の中で、創作芸術の本質をミメーシスとしました。日本語では、模倣とか表象と訳されています。また、「悲劇」とは、「あわれみとおそれを通じて、そのような感情の浄化(カタルシス)を達成するもの」という概念で整理しました。 


「ショスタコーヴィッチの生きた時代」

 

ロマン派音楽研究会ROMUVE会員

   群馬県立太田高等学校歴史教諭 宮川淳吾

 優れた芸術作品は、時代や国家、民族などを越える普遍性を有しています。しかし、ショスタコーヴィッチの創作活動は、ソヴィエト社会主義共和国連邦-長いので以降はソ連と省略します-の歴史と不可分であり、それが故にソ連国内だけでなく、世界での評価までもが、生前だけでなく死後も二転三転した極めて稀な芸術家なのです。

 

 これからお聴きいただくピアノ五重奏曲作曲の時期までのショスタコーヴィッチとソ連の歴史の関係について、簡単に説明させていただきます。

 

(解説用資料の1ページ目の年表をご覧ください。)

 

 ショスタコーヴィッチが、現代風に言えば大学の卒業作品となる交響曲第1番を初演したのが20歳、1926年のことでした。レニングラードでの初演は大成功し、トスカニーニやブルーノ・ワルター、オットー・クレンペラーなど、西側の指揮者が次々と採り上げ、“現代のモーツァルト”“ソ連が生んだ最初の天才”などと絶賛されました。確かに、大学の卒業作品と聞いてイメージする習作的な作品と感じさせない、すでにある程度完成されたショスタコーヴィチワールドを感じさせる素晴らしい作品です。

出演者


 Violin 島田  光博

 4歳より桐朋学園大学音楽学部附属「子供のための音楽教室」仙川教室にて、ソルフェージュを学び、5歳よりヴァイオリンを始める。第65回全日本学生音楽コンクール東京大会第1位、第3回デザインK国際音楽コンクール第1位、及びグランプリ、The Competition for Young Violinist of Festival Groba 2015(スペイン)18歳以下の最優秀賞。第7回コンコルソMusicAlte グランプレミオマニフィカ(最高位賞)など、国内外で様々な賞を受賞。2018年5月調布フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会にソリストとして招かれプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏。

 2019年2月藝大一年生ミレニアムシンフォニー第1回演奏会にてシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て東京藝術大学に進学、現在はベルリン芸術大学に在学中。これまでに、服部エリ、江口有香、故岡山潔、野口千代光、漆原朝子、マークゴトーニの各氏に師事。 

Violin 山本 大心

 滋賀県大津市出身。2013年から6年間、「佐渡裕とスーパーキッズオーケストラ」に在籍。第68回全日本学生音楽コンクール大阪大会中学の部入選、第70回同コンクール東京大会高校の部入選。第24回河口湖ヴァイオリンセミナー、2016年石川ミュージックアカデミー、第27〜29回、31回和波たかよし八ヶ岳サマーコースなどに参加。2016年、ジュニアソリストコンサートin浜松にて、かめらーた浜松とメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を共演。平成29年度平和堂財団芸術文化奨励賞受賞。「若いヴァイオリ二ストのためのアルテュール・グリュミオー国際コンクール2019」カテゴリーD第3位受賞。これまでに、玉井洋子、泉原隆志、和波孝禧、ヤンソンシク、玉井菜採、松原勝也の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属高校を経て、現在、東京藝術大学在学中。 

Viola 宮川 清一郎

 群馬県伊勢崎市出身。3 歳からヴァイオリン、18 歳からヴィオラを始める。

 高崎経済大学附属高等学校芸術コース音楽系を経て、現在、東京藝術大学音楽学部器楽科3年に在籍。第14回日本管弦打楽器ソロ・コンテスト金賞・東邦音楽大学学長賞、日本ヴァイオリンコンクール入選。ロマン派音楽研究会ROMUVE演奏会のソリストとして山本大心氏と共にモーツァルトの協奏交響曲を演奏。その他、小林研一郎指揮音楽大学フェスティバル・オーケストラの首席を務めるほか、現代音楽の初演や杉山清貴氏、さだまさし氏との共演など、多彩な演奏活動を行なっている。

 ヴィオラを市坪俊彦、井桁正樹、加藤大輔の各氏に師事。今井信子、佐々木亮、Leo de Nave、Walter Kussner、川崎雅夫各氏のレッスンを受講。

Cello 藤森 洸一 

 12歳よりチェロを始める。第73回全日本学生音楽コンクール東京大会大学の部にて、第1位を受賞。これまでにチェロを松波恵子、河野文昭、渡辺辰紀の各氏に師事。室内楽を川崎和憲、菅谷早葉、市坪俊彦の各氏に師事。東京藝術大学附属音楽高等学校を経て、現在東京藝術大学3年在学中。

Piano 石黒 龍一 

 4歳からピアノを始める。

 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学3年に在学中。

 第13回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA 全国大会金賞、アジア大会銅賞を受賞。第5回モスクワ・カバレフスキー国際音楽コンクール第1位及びカバレフスキー賞を受賞など、受賞歴多数。これまでにピアノを植田克己、津田裕也、三谷温、伊藤夢里子の各氏に師事。